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ニッセイ緑のオンライン環境講座⑦~カシ・クヌギ・ナラ~(講師:林 将之氏/樹木図鑑作家)

《テーマ》学校の樹木トップ20紹介⑦『カシ・クヌギ・ナラ』



子どもが一番はじめに覚える木の名前は、サクラでもイチョウでもなく、「どんぐり」の場合が多いかもしれません。「どんぐり ころころ どんぶりこ…」の歌でもおなじみで、ぴかぴか光る丸いどんぐりは、誰もが思わず拾いたくなる魅力があり、子どもが自分で見つけて集めることができるなど、ほかの木とは違った親しみのある木といえます。



ただ、「どんぐり」という名前の木はありません。どんぐりとは、クヌギ、マテバシイ、ナラ類(コナラ、ミズナラ、カシワなど)、カシ類(シラカシ、アラカシ、ウバメガシなど)など、ブナ科の樹木の果実を指す言葉です。



特に、まん丸で大きなクヌギのどんぐりや、背が高くて都会でも拾いやすいマテバシイのどんぐりは、子どもたちにも人気です。ナラ類は冬に葉が落ちる落葉樹で、里山の雑木林や東日本に多く見られます。カシ類は一年じゅう葉のある常緑樹で、西日本など暖かい地方に多く見られます。



ニッセイ緑の財団による学校の樹木プレート設置数ランキングでは、カシ類が第7位に、クヌギ・ナラ類が13位に、マテバシイが30位に入りました。これらをまとめて「どんぐり類」とカウントすれば、サクラ類、カエデ類についで第3位になる数です。それくらい、「どんぐりの木」は身近な存在で、どこの学校にも1本はあることが多い木のようです。



このうち、樹木プレートの数が最も多かった木はシラカシで、次いでマテバシイ、クヌギ、アラカシ、コナラ、ウバメガシの順でした。シラカシのどんぐりは小型ですが、毎年たくさんつき、街路樹や公園にも多く植えられているので、よく拾える代表的などんぐりです。



ところで、どんぐりはなぜあんなに丸くて丈夫なのでしょう? 自然界では誰がどんぐりを運ぶのでしょう?



ヒントは、どんぐりの歌の続きにもあります。ころころ転がってお池に落ちたように、少しでも遠くに転がって、そこで芽生えるという目的が一つあると考えられます。歌の2番では、ドジョウと遊んでいるうちに山に帰りたいと泣いて終わるのですが、後になって作られたという3番では、



どんぐりころころ 泣いてたら 



仲良しこりすが とんできて 



落ち葉にくるんで おんぶして 



急いでお山に 連れてった



と歌われています。ほかに、ハトが連れていくバージョンもあるそうですが、まさに自然界でも、リスや鳥、それにネズミがどんぐりを運ぶことがよくあります。これらの動物は、冬越しに備えてどんぐりを落ち葉の下や穴などに蓄えることが多く、そのうち、食べられずに残ったものや、忘れられたものが芽を出し、新たなどんぐりの木が育つのです。



まるで、どんぐりを集めてポケットなどに忘れてしまう人間の子どものようですね。実際に、縄文時代の住居遺跡から貯蔵されたどんぐりが多数見つかっているので、人間も昔はどんぐりをかなり食べていたと思われます。どんぐりを思わず拾い集めてしまうのは、遠い先祖から続く本能ともいえそうです。



きっと縄文人は、どんぐりを集めるだけでなく、あちこちに植えて木を増やしていたことでしょう。どんぐりの木は、その一部を食料として私たち動物に恵み、その一部を遠くに運んでもらうことで、共に繁栄してきた木なのです。



(林将之/樹木図鑑作家)







★当シリーズのこれまでの講座について



《前回(第6回)講座》https://www.facebook.com/nissaymidori/posts/3360434003989612



※前々回以前の講座は上記URLよりご確認いただけます。







★講師について



当講座の講師の林将之氏は、当財団が2019年度より全国の小・中学校等に提供している「学校の木のしおり」の作成に携わっていただいております。







★「学校の木のしおり」の提供について



ニッセイ緑の財団では、現在学校の木のしおりの活動実施校を募集中です!



ご興味のある方は以下URLより募集ビラ・募集要項をご確認の上当財団宛にお申込みください(お申込みはメール・FAXどちらでも可能です)。



(HP記事)



http://www.nissay-midori.jp/topics/details/776



(FB記事)



https://www.facebook.com/nissaymidori/posts/3263263873706626



※当講座については『毎週木曜日』に登載予定です!



 



1:アラカシ(粗樫)のどんぐり。カシ類のどんぐりはお椀(殻斗(かくと))に横しま模様があることが特徴。





2:シラカシ(白樫)のどんぐり。名の由来は木材が白いため。どんぐりの仲間は秋に熟して落ち、翌年まで拾うことができる。





3:植えられたシラカシの樹形。高さ15m前後の高木になる。樹皮は平滑で、薄く縦すじがあることが多い。





4:アラカシの花。どんぐりの仲間は、春に穂状の花を垂らすが、地味であまり目立たない。





5:ウバメガシ(姥目樫)は生垣や刈り込みにされることが多い。小型の葉が枝先に集まってつき、どんぐりのお椀にはカシ類では例外的に網目模様がある。





6:左からウバメガシ、シラカシ、アラカシの葉。ウバメガシはとても小さく、アラカシにはやや荒いギザギザがある。





7:クヌギ(櫟)のどんぐりのお椀は、イソギンチャクのような独特の形。葉は細長くてギザギザが目立つ。





8:マテバシイ(馬刀葉椎)のどんぐりは、中身を生でも食べることができる。他のどんぐりはアク抜きが必要。葉は大型で、ふちにギザギザはない。





9:冬眠前にどんぐりを集めるシマリス。ほおにどんぐりをたくさん入れて運ぶ。





10:日本最大級のどんぐりをつけるオキナワウラジロガシ(沖縄裏白樫)の芽生え。沖縄県に分布し、どんぐりは長さ3cm以上にもなる。




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