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ニッセイ緑のオンライン環境講座⑧~コブシ・モクレン類、ハナミズキ~(講師:林 将之氏/樹木図鑑作家)

《テーマ》学校の樹木トップ20紹介⑧『コブシ・モクレン類、ハナミズキ』



春、サクラよりも少し早く満開になる、白い花の木をご存じでしょうか。コブシ(辛夷)やハクモクレン(白木蓮)です。学校が春休みに入る3月後半から4月前半に見頃を迎えることが多く、葉が芽吹く前の冬枯れの景色を背景に、大きな白い花びらを広げるのでよく目立ちます。



両者ともモクレン科の落葉高木でよく似ており、間違えられることが多いのですが、コブシは日本在来種、ハクモクレンは中国原産です。コブシは東日本の雑木林に多く、昔からその開花が農作業開始の合図とされ、東北地方では「田打ち桜」や「種まき桜」などの呼び名もあります。まさに春の訪れを告げるサクラのような存在なのです。



そんなコブシやモクレンの仲間が、ニッセイ緑の財団による学校の樹木名プレート設置数ランキングで、第8位に入りました。その内訳は、多い順にコブシ、モクレン、ハクモクレン、シデコブシ(四手辛夷)となっています。



モクレンは、濃い紫色の花をつけるので「シモクレン(紫木蓮)」とも呼ばれる中国原産の木です。ハクモクレンと混同されることが多いのですが、花色だけでなく樹形も異なり、高さ5m以下の低木で細い幹を多数出すなど、明らかな別種です。また、東海地方に特産するシデコブシも低木状で、花は白〜淡いピンク色で花びらが多く、別名「姫コブシ」とも呼ばれます。



これら4種は、世間一般ではさほど認知度の高い木とも思いませんが、校庭の樹木でベスト10入りしたのは、やはり大きく美しい花をつける春の花木の代表格だからでしょう。加えて、花や樹液に香水のような芳香があり、秋には鮮やかな黄色に紅葉し、実の形は握りこぶしのようでユニーク、冬芽は大きくて白い毛に覆われるなど、個性の強い木といえます。



春の花木といえば、近年人気が高いのが北アメリカ原産のハナミズキ(花水木)で、こちらもランキングで10位に入っています。



ハナミズキは、日本産のミズキの仲間で、花がより目立つのでこの名があります。花が目立つのは、白やピンク色の4枚の大きな花びら(正確には総苞と呼ばれる葉)があるためで、サクラより少し遅い4〜5月に満開を迎えます。また、秋はいち早く赤く紅葉し、秋〜冬にかけて赤い実が樹上を彩るなど、見所が多い木です。



日本に入ってきたのは大正時代のはじめで、東京からアメリカのワシントンにサクラを贈ったお礼として、ハナミズキが贈られてきたエピソードが有名です。しかし、“ハナミズキブーム”と呼べるほど庭や街路樹などに多く植えられるようになったのは、昭和の終わり頃からです。



その後、平成に入って一青窈(ひととよう)さんの歌「ハナミズキ」がヒットし、いちやく有名になった印象があります。あるカラオケ機器メーカーの集計では、平成時代にカラオケで最も多く歌われた歌は「ハナミズキ」であったそうです。音楽の授業や卒業式にこの歌を取り入れる学校も現れ、今では老若男女に広く知られた木と言えるでしょう。



このような特性から、校庭のハナミズキは比較的最近になって植えられたことが簡単に推測でき、30〜40年以上前にはほとんどなかったはずです。時代とともに、校庭の樹木にも流行が反映されているのです。



(林将之/樹木図鑑作家)



 



★当シリーズのこれまでの講座について



《前回(第7回)講座》https://www.facebook.com/nissaymidori/posts/3378852488814430



※前々回以前の講座は上記URLよりご確認いただけます。







★講師について



当講座の講師の林将之氏は、当財団が2019年度より全国の小・中学校等に提供している「学校の木のしおり」の作成に携わっていただいております。







★「学校の木のしおり」の提供について



ニッセイ緑の財団では、現在学校の木のしおりの活動実施校を募集中です!



ご興味のある方は以下URLより募集ビラ・募集要項をご確認の上当財団宛にお申込みください(お申込みはメール・FAXどちらでも可能です)。



(HP記事)



http://www.nissay-midori.jp/topics/details/776



(FB記事)



https://www.facebook.com/nissaymidori/posts/3263263873706626



※当講座については『毎週木曜日』に登載予定です!



 



1:コブシの花は、6枚の花びらがよく開き、花の下に小さな葉がつく。





2:花期のコブシの樹形。幹は白っぽく、よく直立する。別名ヤマモクレン。





3:コブシは果実が握りこぶしに似ることが名の由来。熟すと裂けて赤い種子がぶら下がる。





4:ハクモクレンの花はチューリップのような形で、花びらが9枚あり、さほど開かない。





5:ハクモクレンの紅葉。濃い黄色で美しい。枝先に毛をかぶった大きな花芽も見える。





6:シモクレンの咲き始めの花。ハクモクレンとの雑種サラサモクレンも植えられる。





7:左からコブシ、シモクレン、ハクモクレンの葉。いずれも葉先側が広くなる形で、ハクモクレンの葉は特に大型。





8:ハナミズキの花。4枚の総苞が目立ち、その中心に小さな花が集まってつく。ヤマボウシに似るが、総苞の先がくぼむことが違いで、アメリカヤマボウシの別名もある。





9:ハナミズキの果実は秋に赤く色づく。食べられない。





10:紅葉したハナミズキ。ややくすんだ赤色だが鮮やかで目立つ。




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