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ニッセイ緑の財団ニュース

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408.《アホウドリ(信天翁)》

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408.《アホウドリ(信天翁)

翼開長(翼を広げた時の長さ)が240㎝にもなる日本最大級の海鳥です。堂々とした姿で、背中は成長と共に段々白くなっていきます。成鳥は嘴がピンクで頭部は淡い金色に輝き、背中の白さが際立ち非常に美しく見えます。成鳥になるには10年以上かかります。
和名のアホウドリは悲しい歴史を反映しています。それはこの鳥は人間が近づいても逃げることなく、また地上での動きが鈍いため、簡単に捕獲されることから付いた名前です。
明治期にはこの鳥を棒を使って簡単に撲殺し、一人で一日に百羽以上も捕獲したと言います。その羽根はフランスを中心にヨーロッパに輸出されて高級婦人帽や頭の飾り物として珍重され、パリのファッションとして大流行しました。
この輸出で大金持ちになった商人たちは競って「無人島探検」を行い、日本の南の島々を見つけてはアホウドリを捕獲していきました。その為一時絶滅宣言が出されるまで追い込まれましたが、1951年に鳥島の燕崎にわずか十羽ほどが生き残っていることが発見され、絶滅を免れました。その後特別天然記念物に指定され積極的に保護増殖事業が行われた結果、現在では推計で数千羽まで回復してきました。
こうした歴史から、現在ではアホウドリではなく、沖に棲む美しい鳥、立派な鳥の意味合いの「オキノタユウ(沖の太夫)」に名前を変えようと提唱されています。漢字名の信天翁(運を信じて魚が来るのをじっと待つ翁の様な白い鳥)にも通じる良い名前だと思いませんか。
英語名のAlbatross(アルバトロス)はゴルフではダブルイーグル(パーマイナス3打)の俗称ですが、これは長距離を飛ぶ能力に優れ、滅多に見かけることのない珍しい鳥であるアホウドリを、同じく飛距離を必要とし、滅多に見かけることのないダブルイーグルと重ね合わせたことに由来しているといわれています。
安武 弘幸氏(NPO法人千葉県森林インストラクター会会員・千葉県野鳥の会会員)
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