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409.《ツルフジバカマ(蔓藤袴)》

409.《ツルフジバカマ(蔓藤袴)》
日当たりの良い草地や雑木林の林縁で見られますが、近年、開発などで生育環境が減少しており、地域によっては稀少種となっています。また、シカによる食害の報告もあります。
5~8対の小葉からなる葉は、先端が二股になった巻きひげになっており、この巻きひげで絡みながら伸びていきます。大きな托葉が特徴の一つになっています。
押し葉にすると、葉が赤褐色に変色して、驚かされます。
名前の由来は諸説あります。新牧野日本植物図鑑には「紫色の花をフジバカマの花になぞらえたものである」との記載がありますが、フジバカマ(キク科)には似ていないとの異論もあります。
花がフジに似て、蔓性であることと、大きな托葉を袴に見立てた名前という説もあります。
ツルフジバカマの葉を食草としているのがヒメシロチョウの幼虫です。ツルフジバカマが減少していることだけが理由とは言い切れませんが、ヒメシロチョウも減少しており、環境省レッドデータで絶滅危惧Ⅱ類に入れられています。
昆虫の訪花も多くあります。時にはクモの仲間も訪花しています。その結果、結実しますが、花の数ほどの結実は見られないようです。
廣畠眞知子氏(NPO法人千葉県森林インスタラクター会会員、元千葉都市緑化植物園緑の相談員)