記事公開日
最終更新日
412.《キツネノマゴ(狐の孫)》

412.《キツネノマゴ(狐の孫)》
山里の路傍などで普通に見られる一年草です。草丈は20㌢余り、花は1㌢に満たないサイズで、気づかないまま通り過ぎることも多いかもしれません。
名前の由来は諸説ありますが、いずれも根拠に乏しいようです。
花穂はがくや苞でふさふさして見えますが、小さいために孫サイズのキツネの尻尾に見立てたという説があります。花がキツネの顔を思わせるという説もあります。
牧野富太郎博士は、毛の密生する果穂の中の果実1個から4個の種子が弾け出ます。その様をキツネの出産に見立てたと言っておられましたとか。
草丈が低いので、雑草として嫌われるというわけでもないようですが、他の草と一緒に草刈りをされることがあります。草刈りをされると、細かく枝分かれして、花穂をたくさんつけます。
熟した果実は2裂して、4個の種子を弾き出します。果穂をコップに入れておくと、コップの中で種子が弾き出されて、ピンピンと軽やかな音を聞くことができます。
秋には紅葉します。
平安時代から生薬として刈り取った全草を干したものを煎じて、解熱、咳止めなどに使われていたようです。また、入浴剤にして腰痛や神経痛、リュウマチなどに有効とされています。
廣畠眞知子氏(NPO法人千葉県森林インスタラクター会会員、元千葉都市緑化植物園緑の相談員)