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430.《バクチノキ(博打の木)》
430.《バクチノキ(博打の木)》
房総半島以西の暖地に自生する常緑樹です。
樹齢を重ねるとともに剥がれるようになる樹皮が特徴で、注目されます。秋から春に樹皮が剥がれ落ちると、その跡が紅黄色のまだら模様になります。
この姿を、博打に負けて身ぐるみ剝がされる姿に見立てて、バクチノキ(博打の木)と呼ばれるようです。江戸時代には博徒の信仰の対象にされたりもしたようで、庭木として植えられるようになりました。
自生地は国や県の天然記念物に指定されているところもあります。
葉を水蒸気蒸留という方法で抽出した杏仁水(きょうにんすい:ばくち水)は咳止め、鎮痛剤として利用されてきました。ただし、杏仁水には青酸を含みますから、素人の安易な利用は危険です。
春に咲くウワミズザクラ、イヌザクラなどと同じ仲間ですが、これらが落葉樹で、春に開花するのに対して、バクチノキは常緑樹で、秋に開花します。
花後にできる果実はゆがんだ卵形と表現されることもありますが、独特の形をしており、5月頃、黒紫色に熟します。
近年、同じ仲間の常緑樹で、ヨーロッパ東南部から西アジア原産のセイヨウバクチノキが公園などに植えられています。こちらも春に開花します。樹皮は剥がれません。
廣畠眞知子氏(NPO法人千葉県森林インスタラクター会会員、元千葉都市緑化植物園緑の相談員)
