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453.《コクガン(黒雁)》

453.《コクガン(黒雁)》
名前の通り黒いガンです。冬鳥としてシベリアの北極圏から渡来し、北海道や東北地方の沿岸部で越冬します。国の天然記念物で環境省の絶滅危惧種にも指定されている貴重な鳥です。
植物食(草食性)が非常に強く、主食は海草のアマモや、アオサなどの海藻類、塩生湿地の植物などです。
コクガンは水中に潜ることが出来ないので、アマモなどを食べる時は逆立ちして首を海中に突っ込んで採餌します。水面からお尻を上げたユニークな姿は、水に潜れない水面採餌食性のマガモやカルガモなどでも良く見られます。
宮城県の志津川湾ではアマモなどのエサが豊富なので、まとまった数のコクガンが見られます。ここではコクガンとオオバンが一緒に泳いでいることが多いのですが、両者には興味深い関係が見られます。
オオバンはクイナ科の鳥で潜水が得意なので水底に生えるアマモを上手に採ることが出来ます。一方潜れないコクガンは採れるアマモの量は限られてしまうので、オオバンが水面に戻ってきたときにそのアマモを横取りするのが観察されます。他者の労働の成果を横取りする習性で労働寄生と呼ばれています。
オオバンはコクガンのこうした行為を嫌がって逃げるか、と言うと素人目にはそんなふうには見えません。コクガンも手荒に奪っているかというと、これものんびりした感じで至って平和的に見えます、なんとも不思議な関係です。
オオバンには大きなコクガンと一緒にいることで猛禽などの天敵から身を守りやすいとか、何か理由が有るのかもしれません。
安武 弘幸氏(NPO法人千葉県森林インストラクター会会員・千葉県野鳥の会会員)
