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509.《ヒシ(菱)》
509.《ヒシ(菱)》
国内全土の池や沼に自生する一年草です。水底に根を張り、水面に葉を広げますので、場所によっては2㍍を超える茎を伸ばしているとの報告もあります。
ヒシの実と呼ばれる果実が押しつぶされたような形を「拉(ひし)ぐ」と表現し、ヒシと呼んだとか、葉の形が「拉げた」ような形だからとか、語源については諸説あるようです。
水面に浮いた葉は、葉柄の中央部が膨らんでおり、浮袋の役割をしています。加えて、浮かんだ葉の表面には光沢があって水を弾くようになっています。
刺のある果実ですが、中の種子は「クリのよう」と表現されるようなホクホクした味わいで、既に奈良時代頃には食べられていたようです。平安時代になると、宴会の食材としてポピュラーだったことが伺える記録が残されています。
夏に咲く白い花は訪花する昆虫によって花粉が運ばれて受粉、結実します。結実すると水の中に潜り、熟してくると茎から離れて、水面に浮かび上がります。
水の流れに乗って移動するものもありますが、鳥の羽に潜り込んで運ばれることもあるようです。水底に潜って埋土種子となるものもあります。
国内のヒシの仲間は刺が2本のヒシ、4本のヒメビシ、オニビシなどがあります。
(廣畠眞知子氏(NPO法人千葉県森林インスタラクター会会員、元千葉都市緑化植物園緑の相談員)
