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436.《ヒラタケ(平茸)キノコ類》
436.《ヒラタケ(平茸)キノコ類》
ヒラタケは晩秋から早春の寒い時期に発生するキノコです。主に広葉樹の枯木、切り株などに生えます。世界の温帯域に広く分布します。
欧米では、岩に付く牡蠣の形態に似ることから「オイスター・マッシュルーム(oyster mushroom)」と呼ばれ、おいしいキノコとして有名です。
日本でも古くから食菌として親しまれ、「今昔物語集」にも登場します。“受領の信濃守が馬ともども谷に落ちて、命が危なかったにもかかわらず、平茸を採って上がってきて、採り残しを残念がる話”、“僧や童子が平茸と思って食べたキノコで亡くなる話”、“平茸と偽って毒茸を食べさせ毒殺を図る話”など、ヒラタケにまつわる話が多くあります。
地方名としては「ワカイ」、「ドンコロ」、「カンナバ」などがあります。
ヒラタケは人工栽培され、以前は栽培地の名前を冠し「○○シメジ」などおいしいキノコの代名詞であるシメジの名を付けて販売されていました。しかし、日持ちが悪いため、ブナシメジなどに押され、生産量は激減しました。
ヒラタケの食味を保ち、エリンギの遺伝子を導入し日持ちを良くしたキノコも市販されています。
ヒラタケは線虫捕食菌としても有名で、木材の中で線虫を麻痺させる物質を出して捕食し、栄養源としています。
反対にヒラタケに寄生し、ヒラタケ白コブ病の原因となる線虫もいます。
ヒラタケは味が温和で、歯切れも良く、どのような料理にも合いますが、バターで炒めると風味が増します。
優秀な食菌ではありますが、形態がよく似た毒キノコにツキヨタケやスギヒラタケがあります。特にツキヨタケによる中毒は毎年のように起きています。利用する際は専門家に相談することが必要です。
平尾信三氏(NPO法人千葉県森林インストラクター会会員・日本菌学会終身会員)

