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372.《タチツボスミレ(立坪菫)》

372.《タチツボスミレ(立坪菫)》
山路来て なにやらゆかし すみれ草(芭蕉)
日本の野山で咲く野生種のスミレの仲間は50種以上とも言われますが、その区別はなかなか難しいものがあります。その中で、一番身近で、一番多く見かけるスミレの仲間がタチツボスミレです。
春に淡紫色の花を咲かせ、花後は、茎を伸ばして立ち上がります。
花を横から見ると大工道具の墨入れ(すみいれ)のような姿で、庭(坪)のような場所に生え、立ち上がることからの名前と言われています。
花を横から見ると、距(きょ)と呼ばれる細長い袋状の部分があります。蜜を溜めて虫を花の奥へと誘います。虫が出入りすることで花粉の媒介をしますが、受粉率は30~40%という報告があります。
一方、春が終わるころ、スミレの花は見られないころに、突然、果実が目だってくることがあります。これは閉鎖花(へいさか)と呼ばれ、開花しないまま自家受粉する花が結実した姿です。受粉率は100%で、確実に種子を残します。
残念なことに、自家受粉ですと、多様性という点では、花を咲かせて他花受粉をする開放花(かいほうか)にはかないませんが、確実に子孫を残すことはできます。
スミレの仲間に見られる生き残り戦略です。
廣畠眞知子氏(NPO法人千葉県森林インスタラクター会会員、元千葉都市緑化植物園緑の相談員)
日本の野山で咲く野生種のスミレの仲間は50種以上とも言われますが、その区別はなかなか難しいものがあります。その中で、一番身近で、一番多く見かけるスミレの仲間がタチツボスミレです。
春に淡紫色の花を咲かせ、花後は、茎を伸ばして立ち上がります。
花を横から見ると大工道具の墨入れ(すみいれ)のような姿で、庭(坪)のような場所に生え、立ち上がることからの名前と言われています。
花を横から見ると、距(きょ)と呼ばれる細長い袋状の部分があります。蜜を溜めて虫を花の奥へと誘います。虫が出入りすることで花粉の媒介をしますが、受粉率は30~40%という報告があります。
一方、春が終わるころ、スミレの花は見られないころに、突然、果実が目だってくることがあります。これは閉鎖花(へいさか)と呼ばれ、開花しないまま自家受粉する花が結実した姿です。受粉率は100%で、確実に種子を残します。
残念なことに、自家受粉ですと、多様性という点では、花を咲かせて他花受粉をする開放花(かいほうか)にはかないませんが、確実に子孫を残すことはできます。
スミレの仲間に見られる生き残り戦略です。
廣畠眞知子氏(NPO法人千葉県森林インスタラクター会会員、元千葉都市緑化植物園緑の相談員)