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ニッセイ緑の財団ニュース

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386.《アサザ(淺沙)別名 ハナジュンサイ(花蓴菜)》

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386.《アサザ(淺沙)別名 ハナジュンサイ(花蓴菜)

湖沼や池などの浅いところの水面を覆うように丸い心臓形葉を広げます。水辺の砂地を意味する“沙”という漢字が充てられています。
水底まで到達した根茎は、地中を横に這い、節から根を出して定着します。横に這った根が切れて、別個体になることもあります。多くの場合、このようにして株数を増やし分布を広げています。
水に浮かぶ葉の間から、花柄を突き出すように黄色い花を咲かせます。雌しべが長くて雄しべが短いタイプの花を咲かせる株と、雌しべが短くて雄しべが長いタイプの花を咲かせる株があります。両方のタイプの株がないと、受粉、結実が正常に行われませんので、種子繁殖はできません。国内での種子繁殖は稀との報告があります。
繊細な花姿は、古代から観賞対象にされてはいたようですが、栽培されたという記録はありません。自然の中で観賞する花だったのでしょう。
 見るからに 思ひますだの池に生ふる あさざの浮きて 世をば経よどや
                          (古今和歌集 六帖)
 思ふこと 底深からぬうきねより 心あさざの さてぞ生ひぬる
                          (新撰和歌六帖 藤原知家)
水辺の環境が減少している現在では、地域によっては絶滅が危惧されているところもあります。
廣畠眞知子氏(NPO法人千葉県森林インスタラクター会会員、元千葉都市緑化植物園緑の相談員)
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