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ニッセイ緑の財団ニュース

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402.《ライチョウ (雷鳥)》

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402.《ライチョウ (雷鳥)

ライチョウは一年中高山に棲んでいる鳥です。夏は褐色、冬は真っ白になり、夏冬とも完全な保護色です。雪を掘って眠る習性があるなど完全に高山に適応した野鳥です。天敵はノスリやチョウゲンボウなどの猛禽とキツネなどで、そのため晴れた日の行動は控えめで、霧が出た時などにハイマツや高山植物の中を歩き回ります。ライチョウは「雷鳥」と書き、天気が悪く捕食者が少ない時に見かけることが多いことが名前の由来です。
ライチョウはいわゆる氷河期の遺存種で、氷河時代にナウマンゾウなどと共に日本に渡ってきましたが、氷河期が終わった時に北に戻らず中部山岳の高山帯に取り残されたのが日本のライチョウです。
日本では里山に続く高山は奥山として人があまり入らず、特に日本アルプスの様な高山は信仰の対象になっていました。そのため高山に棲むライチョウも狩猟対象になることは無く、人を恐れる習性が生まれませんでした。実際北アルプスなどを歩いていると親子連れのライチョウが登山道に出てくることが有り、じっと佇んだりして嬉しいシャッターチャンスを提供してくれます。
のっそりした動きで愛嬌のあるライチョウですが、生息数は南北アルプスを中心に2000羽程度と推測され、絶滅危惧種です。温暖化の影響でライチョウの棲家であるハイマツや高山植物帯が狭くなり、また南アルプスなどではシカが高山植物を食べ尽くしたり、サルが高山迄登ってライチョウを捕食する例が報告されるなど、厳しい状況です。その為環境省の保護増殖事業の対象となっています。また中央アルプスでは野生復帰の試みが続けられています。
安武 弘幸氏(NPO法人千葉県森林インストラクター会会員・千葉県野鳥の会会員)
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