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324.《オシドリ(鴛鴦)》

324.《オシドリ(鴛鴦)》
オスは一目でそれとわかるほど色彩豊かで美しい姿です。特に尾羽の隣に位置する三列風切羽の一部は橙色で形も銀杏の葉の形に似ているので、銀杏羽と呼ばれています。
メスは他のカモと同様地味な色合いであまり目立ちませんが、アイリングから後ろに白い線が伸び、涙が出ているようにも見え、見分けのポイントになります。
カモ類としては珍しく森の中に住んでドングリを好んで食べ、巣も時に高さ10mを超えるような位置にある樹洞に作ります。生まれたヒナは間もなく巣から飛び降り、親鳥について安全な水辺へと急ぎますが、まだ飛べないヒナが毬の様に転げ落ちても怪我をしないのですから不思議なものです。
湖ではよく10羽以上もヒナを連れて泳いでいる姿を見かけますが、これはヒナ混ぜと呼ばれる現象で、自分のヒナが捕食されにくくするため、他の親のヒナを受け入れたり連れ去ったりするためと言われています。
オシドリは漢字では鴛鴦と書き、鴛はオス、鴦はメスのオシドリを表します。「おしどり夫婦」「鴛鴦の契り」など夫婦仲が良いことに例えられますが、カモ類はハクチョウやガンなどの大型の種を除いて夫婦の契りは1年限り、オシドリもメスが卵を温め始めるとオスはメスから離れ夫婦関係は終わります。
安武 弘幸氏(NPO法人千葉県森林インストラクター会会員・千葉県野鳥の会会員)