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472.《ウソ(鷽)》
472.《ウソ(鷽)》
今年の冬はウソが多く、都市部の公園でも良く見かけます。お腹が赤みを帯びた亜種アカウソも多いようです。昨年の冬は冬鳥が少なく、東京近郊ではツグミなども年明け2月頃になって漸く見られるようになった程でしたが、今年の冬鳥は全般に当たり年で、愛鳥家にとっては嬉しい冬です。
ウソは冬鳥若しくは漂鳥で、日本では亜高山帯で繁殖し、冬になると平地に降りてきます。夏も冬も「フィー、フィー」と単純で分かり易い声で鳴くので、この声を聞けば直ぐウソだと分かります。昔は口笛を吹くことを「うそぶく」と言ったので、ウソはこの鳴き声からの命名です。
ころっとした体形で、頭にはすっぽり黒頭巾を被り、オスの喉は赤く、なんとも愛嬌のある鳥です。嘴は太くて短いのですが、これは木の芽や木の実をすり潰して食べるのに適しています。特にウメ、モモ、サクラの花芽を良く食べます。
西行法師の山家集には、「桃園の 花にまがへる 照鷽(てりうそ)の 群れ立つをりは 散る心地する」と歌われており、赤い喉のウソが花びらが舞い散る様に群れで飛ぶ様子が目に浮かびます。
太宰府天満宮など各地の天満宮では去年の木彫りの鷽を今年の新しい木彫りの鷽に取り替える「鷽替え神事」が行われますが、これは去年の災いや不運を鷽に背負わせて嘘にしてしまい、新しい一年の幸運に取り換えるという厄払いの儀式です。
可愛らしい姿かたちのウソは人々に深く愛されて来たことが分かります。
安武 弘幸氏(NPO法人千葉県森林インストラクター会会員・千葉県野鳥の会会員)
